今日は、趣向を変えて映画の翻訳についての話題など(笑)
このブログの読者のみなさんは、吹き替え (voice-over) 派よりも字幕 (subtitle) 派の方のほうが多いのではないかと思います。いつも僕は、好き勝手に映画のセリフを訳してしまっているワケですが、実際の映画やドラマに字幕をつける仕事って、これはそうカンタンなことではないようです。
一番大きな理由は、文字数制限です。
たとえばあるシーンで、登場人物が1秒ほどかけてセリフを言った場合の文字数って、あらかじめ決められているのだそうです。いわれてみると当たり前のことなのですが、セリフが終わってしまったのに字幕がいつまでも残っていたり、声はしているのに字幕がなかったり、ということにはできませんよね。
なので、映画やドラマのセリフの字幕というのは、原文に忠実にというよりは、意訳・抄訳的にならざるを得ないのだそうな。それでもストーリーとしては意味の通ったモノにならなければなりませんので、字幕をつける作業というのは職人技の領域になるようです。
では、吹き替えはどうか?
字幕に比べると、こちらは楽かというとそれがそうではなくて、今度はセリフを言っている人が画面に映っている場合には、口の動きを合わせた日本語を考えないと、画面のイメージと音声とが合わなくなってしまい、間の抜けたようなことになってしまうのだそうです。
どちらにしても、あくまで原文に忠実にというワケにはいかない、ということですね。特に字幕の場合には、セリフの一部分だけを取り出して、「あの訳はおかしい」みたいな批判をする方がたまにいらっしゃるようですが、こんな背景があるということさえ知っていればハナシは変わってくるはずです。
最近、衛星放送のドラマを見ていたら、吹き替え翻訳者向けの学校のコマーシャルが入って、ふと、そのムカシに聞いた話を思い出しての投稿でした(笑)