今日のスラング表現も、映画『グラン・トリノ』から紹介します。
“She was a real peach.”
(しーわざ・りぃる・ぴーち)
映画の冒頭、ウォルトの奥さんの葬儀の場面からなのですが、弔問客のひとりの台詞がこれでした。
“peach” という言葉から、どんな人だったと想像しますか?日本語的な感覚からは、とっさには理解できないと思います。
その意味は?
実は、”peach” には、スラング表現で「この上無く」とか「最上の」という意味があります。この表現を耳にする機会としては、気分を表現するスラングで “peachy” のほうが多いかも知れません。
なので、今日のお題は、
最高の女性だったよな
という意味になります。きっと穏やかで誰にでも優しい女性だったのでしょうね。
ところで、 “peachy” ですが、「最高の気分だよ」と言いたいときに使えるのですが、皮肉を込めていう場合にドンピシャリとハマるようです。
皮肉で言っているのか、そうでないのかは、その時々の状況や相手の表情、抑揚などで自然と判断できると思います。
会話例:
How are you holding up, John?
(ジョン、大丈夫か?)
After all this, I just feel peachy!
(こうまでになりゃ、最高の気分だよ!)
出典元について:
突然ですが、アメリカ文化を代表することを3つ選んでください、と聞かれたらみなさんは何を思い浮かべるでしょうか?僕は、映画→野球→自動車です。
前回の『人生の特等席』では野球が背景でしたが、今回のこの映画『グラン・トリノ』では、車。どちらも、クリント・イーストウッド本人による制作なのですが、アメリカらしさみたいなところを意識しているんじゃないかなぁー、なんて思えてくるのですがどうでしょうか。
車検のない国アメリカでは、趣味で古い車のレストアをしたり、自分でメンテしながら年代物の車を大切にしている人達がたくさんいます。僕もアメリカ時代にオハイオの田舎で、1929年製造のフォード車を「いまだに動くんだよ」と自慢げに披露してくれたお爺さんに出会ったことがあります。
そのお爺さん、「おまえらもこういう車を作れ」と、ボンネットをウイング状に開けて見せてくれたのですが、単気筒のエンジンがポツンと立っていました。
この映画に登場するウォルト(クリント・イーストウッド)のように頑固ではなかったと記憶していますが、今思えば、頑固というよりも誇りだったんじゃないかな、なんてこの映画を見ていて、当時のことをふと思い出しました。