今回のスラング表現も、映画『ジョン・ウィック』から紹介します。場面も前回と同じ整備工場です。
You’ve got the fucking pair, old man!
身内だと思っていた整備工場のオーナー、銃を突きつけられても「撃つなら撃て!」とあくまで強気の姿勢を崩しません。これには、マフィアのドラ息子も引き下がらずを得ず、最後に吐き捨てたセリフが、今日のお題です。
その意味は?
”fucking” はこれまでにも、何度か出てきましたがお下品に強調しているだけなのですが、強調しているものが “pair” とは、いったいどういうことでしょう?
セリフは聞き取れても、意味不明の方が多いのではないでしょうか?何を隠そう私も、後になって少し考えてみるまで、わかりませんでした。
この “pair” は、ポーカーの「ペア」ことです。
ペアというのは、ポーカーでは最低の手だということを知らなければ、このセリフの意味は理解できません。つまり、「手の内はたいしたことないのに、随分と強気だな」という意味のことを、このセリフで言っているワケですね。
場面に合わせて意訳してみると、
ハッタリかましやがって、クソじじい!
ぐらいの感じになると思います。
実は、私は、高校の留学中にポーカーを教わった記憶があるのですが、ポーカーはそれくらい一般的に知られているゲームだからこそ、映画のセリフにも使われるのだと思います。
こうしたことは、言葉だけを置き換えても、意味は通じませんよね。今後、AIによる翻訳・通訳が広がって便利になると思いますが、言葉を置き換えるだけでは通じないこともあるということは、是非とも覚えておいて下さい。
会話例:
I didn’t even have a pair, damn it!
(ペアすらなかったんだ、ちきしょうめ)
Yeah. Your face always tells us that.
(だよな、それがいつも顔に出るよ)